サンザシの咲く庭

前回のお話:≫ある朝のこと……

今年1月、レディ・キャロラインの元にディース伯爵家がパトロンをしている植物学者であり、レディ・キャロラインの年の離れた友人でもある、トーマス・ジンデル博士から花木が届けられました。
花木は「サンザシ」
5月には白または薄紅色の可憐な花を咲かせ、5月の花「メイフラワー」と呼ばれます。
古くは魔よけとして用いられ、その葉と花は心臓の薬として利用されてきました。

エピファニーの後、届けられたジンデル博士の手紙には、こう記されていました。

親愛なるキャロルへ

 きみに新年のお祝いを直接言えないのが残念だよ。
 元気にしていることと思う。僕も相変わらず国外を行ったり来たりしてるが、元気だ。
 クリスマスの夜会の話、聞いたよ。
 とても楽しそうなことをしたじゃないか!
 こんなに出席できなかったことを悔いた夜会は初めてだよ。
 新年のお祝いに、そして、パーティ嫌いのキャロルがちょっとはパーティ好きになったことへのお祝いに、僕が品種改良をした特別なサンザシを贈るよ。
 なに、怪しい物じゃない。
 通常のサンザシより、少し成長が早いだけだよ。怖がらなくても……いや、面白い物じゃなくて悪いね。
 ああ、サンザシのお礼は、茶会を開いてくれるだけでいいよ。
 もちろん、僕も植物学者の端くれだからね、贈ったサンザシが綺麗に咲いたら、茶会に招待してくれよ。
 楽しみにしてるよ、キャロル。
                   きみを愛する友人 トーマス・ジンデル」

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