「そうですね……誰でしょうか」
無難な返答で受け流す。
こんな状態のキャロラインに、意見など言おうものなら、その何倍の反論がくるか長年の勤めで熟知している。
当たらず障らず。
こういう冷静な状況判断も、バトラーには必要不可欠だ。
「で、あんまり腹が立ったから、お茶会開けばいいんでしょ?って返事書いちゃった」
ああ、この人は……。
ウィリアムは天を仰ぎたくなった。
出来もしないことを売り言葉に買い言葉で言ってしまう。
もう少し、熟考というか、少なくとも短絡的な言動を慎んでいただきたいとあれほど……と心の中で呟く。
そう、あくまで、心の中だけ、で。