バックストーリー

やわらかな午後の陽が差し込む室内には、クリスマスを迎える準備のアドベントリースにロウソクの火が二本灯っている。
ご機嫌ななめのレディ・キャロラインの声に、アドベントリースの火が少々揺れたと思ったのは、
バトラーのウィリアム・スペンサーの見間違いではなかったのかもしれない。
「ああ、もう」と小声で呟き、キャロラインはソファにどっかり腰を下ろした。
伯爵令嬢たる振る舞いではないことに、ウィリアム自身、すでに慣れてしまっていた。
そう、ここは少々変わり者の女主人のカントリーハウス。
ディース伯爵家令嬢、レディ・キャロラインの屋敷。
「お嬢様、クリスマスまで後二週間。伯爵閣下は今週中には『何日に帰る』との返信をするようにとの仰せです」
「あ、そう。帰らないって選択肢はないのね?お父様としては」
「それはそうでしょう。クリスマスは家族で過ごす日です。伯爵閣下もお嬢様と過ごしたいと思われているのですよ」
ウィリアムの健気なフォローの言葉も、キャロラインはふんと受け流し、壁のカレンダーを見上げる。

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